この記事の結論 新NISAは、投資で得た利益(売却益・配当・分配金)に税金がかからない制度です。年間360万円(つみたて投資枠120万円、成長投資枠240万円)まで投資でき、生涯で1,800万円まで非課税で保有でき、非課税の期間に期限はありません。つみたて投資枠は長期の積立に向く投資信託に、成長投資枠は上場株式やETFを含む幅広い商品に使えます。「デメリットしかない」は事実ではありませんが、損失が出たときに他の口座の利益と相殺できないなど、知っておくべき注意点はあります。
新NISAとは?制度のしくみ
新NISAとは、2024年1月に始まった、投資の利益を非課税にする制度です。通常、株式や投資信託の利益には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座で買った商品の利益にはかかりません。制度は恒久化されており、非課税で保有できる期間にも期限がありません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 日本に住む18歳以上(口座を開設する年の1月1日時点) |
| 口座数 | 1人1口座 |
| 年間の投資上限 | 360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円) |
| 生涯の非課税保有限度額 | 1,800万円(うち成長投資枠は1,200万円まで)。買付額(簿価)で管理 |
| 非課税保有期間 | 無期限 |
| 枠の再利用 | 売却した商品の買付額の分だけ、翌年以降に枠が復活する |
出典:金融庁「NISA特設ウェブサイト」、金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月作成、令和7年9月改訂。2026年9月閲覧)。
たとえば、NISAで買った投資信託が100万円値上がりして売却した場合、通常の口座なら約20万円(20.315%)の税金がかかりますが、NISA口座なら税金はかかりません。
つみたて投資枠と成長投資枠の違い
つみたて投資枠は長期の積立・分散投資に向く投資信託だけを、成長投資枠は上場株式・ETF・投資信託など幅広い商品を買える枠です。2つの枠は同じ金融機関のNISA口座の中で併用できます。
| 項目 | つみたて投資枠 | 成長投資枠 |
|---|---|---|
| 年間の投資上限 | 120万円 | 240万円 |
| 生涯の上限 | 1,800万円の総枠の中で使える | 1,800万円のうち1,200万円まで |
| 買える商品 | 金融庁の基準を満たす投資信託・ETF(信託期間が無期限または20年以上、販売手数料0円、毎月分配型でないなど) | 上場株式、ETF、REIT、投資信託など |
| 買えない商品 | 基準を満たさない投資信託、個別株 | 整理・監理銘柄、信託期間20年未満・毎月分配型の投資信託、一定のデリバティブ運用の投資信託 |
| 買い方 | 積立(定期的な買付)のみ | 一括・積立どちらも可 |
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月作成、令和7年9月改訂)。
初心者はどう使い分ければいい?
初心者は、つみたて投資枠で投資信託の積立から始め、慣れてきたら成長投資枠で個別株やETFを加えるのが基本的な使い方です。
- 投資信託を毎月積み立てたいだけの人:つみたて投資枠だけで十分です。月10万円まで積み立てると、年間の上限120万円をちょうど使い切ります。
- 日本株や米国株も買いたい人:成長投資枠を使います。株主優待や配当を受け取りたい場合も成長投資枠です。
- まとまった資金を一度に投資したい人:成長投資枠なら一括で買えます。成長投資枠でも、つみたて投資枠と同じ投資信託の多くを買うことができます。
「NISAはデメリットしかない」は本当?
「NISAはデメリットしかない」は事実ではありません。NISAの最大のメリットは利益が非課税になることで、これは他の口座にはありません。ただし、金融庁や国税庁は次のような注意点を説明しており、これらを知らずに使うと「思っていたのと違う」と感じることがあります。
| 公的に説明されている注意点 | 内容 |
|---|---|
| 損益通算ができない | NISA口座で出た損失は、特定口座や一般口座の利益と相殺できない。国税庁は「損失は、ないものとみなされます」と説明している |
| 損失の繰越控除ができない | NISA口座の損失を翌年以降に繰り越して、将来の利益と相殺することもできない |
| 元本保証ではない | 預金と違い、投資した商品の値下がりで元本を下回ることがある |
| 金融機関の変更は年単位 | 変更の手続きは年単位で、その年にすでにNISAで買付をしていると、その年は変更できない |
| 配当の受け取り方に条件がある | 株式の配当金は「株式数比例配分方式」で受け取った場合にだけ非課税になる |
| 枠の復活は翌年以降 | 売却しても、その年のうちに年間の投資枠は戻らない |
出典:金融庁「NISAを利用する皆さまへ」、国税庁「この社会あなたの税がいきている」(令和6年2月)、金融庁「NISAに関するよくある質問」(2026年9月閲覧)。
どんな人が「デメリット」を感じやすい?
NISAの注意点が問題になりやすいのは、短期間で売買を繰り返す人と、値下がりした時に売却する人です。
- 短期売買をする人:売却しても枠がその年に戻らないため、売買を繰り返すと枠を早く使い切ります。
- 損失を確定させた人:NISAで出た損失は税金の計算上なかったことになるため、課税口座の利益と相殺して税金を減らすことができません。
- 長期で積み立てる人:値下がりの時期も売らずに保有を続ける場合は、これらの注意点の影響を受けにくくなります。
旧NISAで持っている商品はどうなる?
2023年までに旧NISA(一般NISA・つみたてNISA)で買った商品は、新NISAとは別枠で管理され、新NISAの1,800万円の枠は使いません。旧NISAから新NISAへ商品を移す(ロールオーバーする)ことはできません。
- 一般NISA:購入から5年で非課税期間が終わります。2023年に買った分は2027年末に終了し、その後は通常の課税口座に移されます。
- つみたてNISA:購入から20年間は非課税で保有できます。
出典:金融庁「2023年までのNISA」、日本証券業協会の旧NISAの非課税期間終了に関する資料。
2027年から子ども(0〜17歳)もつみたて投資枠を使えるようになる
2026年度の税制改正で、つみたて投資枠の対象年齢が0〜17歳にも広がることが決まりました。適用は2027年1月からです。いわゆる「こどもNISA」と呼ばれ、税制改正大綱では「つみたて投資枠の対象年齢の見直し」として示されました。改正は「所得税法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第12号)で成立しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 0〜17歳 |
| 年間の投資上限 | 60万円 |
| 非課税保有限度額 | 600万円 |
| 払い出し | 12歳以降は、子どもの同意があれば親権者などが払い出せる |
| 18歳以降 | 成人のつみたて投資枠へ自動で移る |
| 開始時期 | 2027年1月(楽天証券など、口座開設の受付を2026年10月1日から始める金融機関もある) |
出典:金融庁「令和8(2026)年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」(2025年12月)、金融庁「アクセスFSA」2026年2月号、財務省「令和8年度税制改正」、楽天証券のお知らせ(2026年9月14日)。口座開設の受付時期は金融機関ごとに異なります。
NISAを利用している人はどのくらい?
金融庁の調査では、2025年12月末時点のNISA口座数は2,821万口座です。政府は2027年末までに3,400万口座という目標を掲げています。
出典:金融庁 NISA口座の利用状況に関する公表資料(2026年7月3日公表)。
NISAを始めるには?
NISAを始めるには、証券会社や銀行でNISA口座を開設します。NISA口座は1人1つのため、どこで開くかが重要です。証券会社ごとの違い(クレカ積立のポイント、米国株、1株単位の取引など)は、「新NISAはどこの証券会社で始める?主要ネット証券5社を条件別に比較」で比較しています。
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よくある質問
Q. 新NISAのつみたて投資枠と成長投資枠は両方使える? A. 使えます。同じ金融機関のNISA口座の中で、2つの枠を併用できます。つみたて投資枠と成長投資枠を別々の金融機関に分けることはできません。
Q. NISAで損をしたらどうなる? A. NISA口座で出た損失は、税金の計算上なかったものとみなされます。そのため、特定口座などの利益と相殺したり、翌年以降に繰り越したりすることはできません。
Q. 新NISAの非課税期間はいつまで? A. 期限はありません。新NISAで買った商品は、売却するまでずっと非課税で保有できます。旧NISA(一般NISA5年、つみたてNISA20年)との大きな違いです。
Q. 売却したら、その分の枠はすぐ使える? A. すぐには使えません。売却した商品の買付額の分だけ、翌年以降に生涯の非課税保有限度額が復活します。年間の投資上限(360万円)が増えるわけではありません。
Q. 旧NISAの商品は新NISAに移せる? A. 移せません。旧NISAで買った商品は新NISAとは別枠で、非課税期間が終わるまで保有するか、売却するかを選びます。
この記事の根拠
本記事の制度に関する記述は、金融庁「NISA特設ウェブサイト」と同庁の資料、国税庁の資料、日本証券業協会の資料をもとにしています。いずれも2026年9月に閲覧した内容です。税制は改正されることがあるため、最新の情報は金融庁のウェブサイトでご確認ください。
出典一覧
- 金融庁「NISA特設ウェブサイト」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
- 金融庁「新しいNISA」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/index.html
- 金融庁「NISAを利用する皆さまへ」(令和6年6月作成、令和7年9月改訂) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/nisa2024/slide_202406.pdf
- 金融庁「NISAに関するよくある質問」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/question/index.html
- 金融庁「2023年までのNISA」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/till2023/index.html
- 国税庁「この社会あなたの税がいきている」(令和6年2月) https://www.nta.go.jp/users/gensen/nisa/pdf/0019009-091.pdf
- 日本証券業協会 旧NISAの非課税期間終了に関する資料 https://www.jsda.or.jp/shijyo/seido/tax/files/nisa_expiry.pdf
- 金融庁「令和8(2026)年度税制改正について-税制改正大綱における金融庁関係の主要項目-」 https://www.fsa.go.jp/news/r7/sonota/20251226-2/01.pdf
- 金融庁「アクセスFSA」2026年2月号 https://www.fsa.go.jp/access/r7/270/270_03.pdf
- 財務省「令和8年度税制改正」 https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2026/seirei/index.html
- 楽天証券 お知らせ(2026年9月14日、未成年者のつみたて投資枠の口座開設受付) https://www.rakuten-sec.co.jp/web/info/info20260911-02.html
- 金融庁 NISA口座の利用状況に関する公表資料(2026年7月3日公表) https://www.fsa.go.jp/policy/nisa/20260703.html
更新履歴
- 2026年9月30日:初版を作成
本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。記載の情報は基準日時点のものです。最新の内容は各社の公式サイトや金融庁のウェブサイトでご確認ください。投資にはリスクがあり、元本を下回る可能性があります。最終的な投資判断はご自身で行ってください。